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南アルプス縦走・荒川岳(3,141m)~赤石岳~聖岳

平成22年(2010)8月2日(月)~6日(金)2名
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荒川中岳から荒川小屋へ向かう途中の大斜面を彩るお花畑
1日目8月2日(月):JR静岡駅~椹島(さわらじま)ロッジ 
参考:しずてつジャストライン 東海フォレスト
JR静岡駅前から畑薙第一ダム直通のバスに乗る。このバスは女性車掌もついていて半ば観光旅行の感じだ。途中、1時間おきにトイレ休憩がある。2回目の休憩は12時ごろとなり茶店での10分ほどの慌ただしい休憩となる。茶店で購入しなくても食事してもよいということなので、駅前のコンビニで購入したそばを食べる。畑薙第一ダムへは予定より早く1時過ぎに到着した。椹島ロッジへは臨時便が出るとみえて接続がよく、待たされることなく出発して予定より1時間早く到着した。ロッジの建物は東海フォレスト椹島事務所となっており、ロッジのイメージではない。しかし中へ入ると、広く幾棟にも分かれており、トイレや入浴施設も完備している。時間があるので食事前に付近を歩き明日の登山口迄の下見をする。部屋は6畳程度で叔父、姪の二人組との4人での同宿となった。椹島は標高1,100m程度で涼しいというほどではなく、やや暑くて寝苦しい夜となった。
椹島ロッジ レストハウス椹
1日目:コースタイム
JR静岡駅(しずてつジャストラインバス¥3,000)9:50発~畑薙第一ダム(東海フォレストバス・施設利用で無料)13:30~14:30椹島ロッジ泊り
2日目8月3日(火):椹島ロッジ~千枚小屋
見晴台の木に掛るサルオガセ 周囲が苔に覆われた駒鳥池
前夜から雷を伴う雨が降り続いている。明け方になっても降り止む気配はない。仕方がないのでしばらく様子を見ることにする。雨は5時過ぎには小止みとなり、幸いにも5時半過ぎには雨具なしで歩ける状態となった。昨日バスで来た椹島ロッジ前の道路を右に5分ほど進む。林道にでるので右手方向に更に10分ほど進む。滝見橋の手前を左手に入って行く。しばらく沢沿いの道を進み吊橋を渡る。鉄塔を過ぎ岩尾根を注意して歩く。林道に出て右手にある鉄階段を登る。小石下は細い木の多いあたりのようだが地名の表示はない。緩やかな登りを進むと沢の流れの前に出る。直ぐこの上に清水平の表示があり水場がある。蕨段は湿った感じの緩やかな斜面でその名の通り林床は一面シダに覆われている。見晴台からは荒川岳や赤石岳が見えるはずだが今日はガスっていて展望は開けない。付近の木々にはサルオガセがぶら下っていて高山に来たという感じを受ける。少し登った山道からほんの少し降りたところに駒鳥池がある。池の周囲は湿地で緑色の苔に覆われている。ここからシラビソの原生林を抜け少しの登りで千枚小屋に着いた。
千枚小屋より赤石岳(左)と小赤石岳(右) 千枚小屋より夕映えの富士山
千枚小屋は昨年6月末に焼失したとのこと。受付・食堂、トイレ・水場と各宿泊棟は分かれている。宿泊した月光荘はトイレ・水場の15mほど上にあり、行き来が少々面倒だ。到着した時点では雲に覆われていた展望も夕刻になり雲がなくなってきた。宿泊棟の西側からは双耳峰の赤石岳とその右側には荒川岳も望める。受付・食堂前の広場からも夕映えの富士山が望めた。
2日目:コースタイム:歩行6時間40分 距離9.25km 累積標高+1,594m -89m
椹島ロッジ5:50→7:10鉄塔→8:25車道→9:20清水平→10:15蕨段→10:30見晴台11:10→12:25駒鳥池→13:10千枚小屋泊り
3日目8月4日(水):千枚小屋~荒川岳~赤石岳~百間洞山の家
千枚岳へ登る途中から見た日の出と富士山
千枚岳からの富士山 千枚岳から、奥秩父方面の雲海
今日は行程が長いので、ヘッドランプを付けて4時10分に出発する。背の低い樹林の中を登って行くと、途中から展望が開け富士と日の出を見ることができた。千枚岳からは雲海に浮かぶ山々や富士山、赤石岳の展望が素晴らしい。千枚岳からはやや険しい岩場の下りに転じるので注意が必要だ。
丸山から見た千枚岳を登る登山者(右) 丸山から見た千枚岳と富士山
丸山からは千枚岳を登る登山者がシルエット状に見える。
クリックで大画面
荒川東岳より富士山 荒川東岳より中央アルプス、乗鞍、北アルプス
荒川東岳(悪沢岳)山頂 3,141m 荒川東岳より塩見岳(左)と間ノ岳(右奥)
荒沢東岳(悪沢岳)は日本で第6位(3,142m)の高峰です。ここからは標高差200mほどの急な下りとなる。最低鞍部(コル)で朝食代わりにスライス餅のお雑煮を食べる。
赤石岳 チングルマ(稚児車)
ヨツバシオガマ(四葉塩竃)
荒川前岳からの富士山とイワベンケイ 荒川前岳のチシマギキョウ(千島桔梗)
中岳避難小屋では期間中は小屋番さんが常駐していて素泊まり(寝具有料)できるようだ。ここで長袖を半袖にしたりして紫外線対策も施す。前岳には分岐に荷物を置いて往復する。
荒川中岳からの大斜面のお花畑 タカネヤハズハハコ(高嶺矢筈母子)
お花畑に咲くクロユリ(黒百合) お花畑を彩るミヤマキンポウゲ(深山金鳳花)
お花畑のハクサンイチゲ(白山一華) お花畑を過ぎて荒川小屋へ進む
荒川中岳の分岐から荒川小屋方面に下っていく。ここからしばらくは大斜面のお花畑が続き楽しめる。花の多くは黄色いミヤマキンポウゲと白いハクサンイチゲだが、そのほか数多くの高山植物が見られる。お花畑を過ぎトラバース気味に下って行くと荒川小屋が見えてくる。荒川小屋には水場があり、ここで水を補給する。荒川小屋からは樹林の中を少し登るが直ぐに開放的で明るい小礫のトラバース道となる。広々とした大聖寺平からダマシ平を経て、つづら折りの急登をしのぐと小赤石ノ肩に到着する。ここでバーナーでお湯を沸かし昼食タイムとする。小赤石岳にかけては稜線の空中散歩ということだが霧がでて展望はよくない。
雪渓の残る赤石岳 赤石岳山頂付近の雪渓
赤石岳からは赤石岳避難小屋の方向に下り、小屋の手前を右に折れて行く。雪渓のそばを通り小礫で大斜面のトラバース道となる。馬の背と呼ばれる尾根歩きをしているとポツポツと雨が降り出してきた。大したことはないだろうと思っていたが、念のためザックカバーを付ける。雨は次第に強くなり他の登山者もみんな雨具を付けている。自分は風もないので折りたたみ傘(雨具もあるが)で済まそうと思って準備していた。本格的に降り出し傘を差しながら歩く。傘でも風がなければほとんど濡れない。ただし片手が使えなくなるのでお勧めはできない。百間洞山の家への下りは岩がゴロゴロして歩きづらい。ようやく雨が小止みになったころ百間洞山の家へ到着した。当日の夕食はご飯に味噌汁、とんかつにそば等々であった。とんかつはまずまずの味であった。なお当日4時以降に遅れてきた人はこの食事にありつけず、カップヌードルなどで済ます人もいた。
3日目コースタイム:歩行10時間30分 距離14.19km 累積標高+1,483m -1,742m
千枚小屋4:10→5:00千枚岳→6:00丸山→6:35荒川東岳→7:05コル7:25→8:05中岳避難小屋8:20→8:30荒川中岳→8:50荒川前岳→10:00荒川小屋10:20→11:55小赤石岳ノ肩12:25→12:42小赤石岳→13:25赤石岳→16:00百間洞山の家泊り
4日目8月5日(木):百間洞山の家~兎岳~聖岳~聖平小屋
百間洞分岐付近からの中盛丸山 百間洞分岐付近からの富士山
周囲が明るくなり始めるころ登り始める。周囲の山々を朝日が差し始めた。稜線に達するとこれから登る中盛丸山と富士山の眺めがいい。富士山の手前は笊ヶ岳が黒い姿を見せており、その手前は雲海となっている。
中盛丸山より富士と聖岳 中盛丸山より穂高連峰(右は槍ヶ岳)
中盛丸山からは中央アルプスはもとより穂高連峰の姿もよく見えた。これから登る兎岳や聖岳も大きな姿を見せている。
小兎岳付近より聖岳(左)と兎岳(右) 小兎岳より兎岳を見る
中盛丸山から足場の悪い急な下りを注意して降りる。緩やかな小兎岳で今日の朝食とする。百間洞山の家で作ってもらった弁当のおにぎり2個(弁当は小さめの天むすおにぎり等4個)とお湯を沸かしあさりの味噌汁を飲む。味噌汁はハナマルキのあさり汁だがこれが意外と旨い。小兎岳からは緩やかに下り、登りに転じて30分ほどで兎岳山頂に達する。兎岳からも展望がよくこれから登る聖岳が大きく見える。歩いてきた中盛丸山や小兎岳もよく見える。
兎岳山頂のタカネビランジ(上方は赤石岳)
兎岳から聖岳を見る ミヤマアキノキリンソウ(深山秋の麒麟草)
稜線や礫地で見かけるタカネツメクサ(高嶺爪草)
前聖岳からの富士山(左のピークは奥聖岳) 奥聖岳のチングルマ(稚児車)
兎岳からは最低鞍部(聖兎のコル)まで標高差200mを下り、聖岳まで400mを登る。最低鞍部まではダケカンバの小さな登り下りの連続だ。鞍部では谷から吹き上げる風が心地よい。聖岳への登りは最初はハイマツ帯の急登となる。崩壊地の縁を小さな下りを交えて登り次第に高度を上げて行く。頂上に近づくにつれ次第に歩きやすくなり、頂上が手の届く範囲に迫ってくる。聖岳頂上からは待ってくれていたかの様に富士山がその姿を見せてくれた。その後間もなく雲の中に隠れてしまう。
奥聖岳のシコタンソウ(色丹草) 水場付近のイブキジャコウソウ(伊吹麝香草)
奥聖岳へは往復4~50分ほどの歩きだ。途中チングルマやシナノキンバイ等の小さなお花畑が続きここも楽しめる。聖岳へ戻り今日の昼食とする。弁当のおにぎりの残りと味噌汁だ。聖岳からは小聖岳を経て聖平小屋に向かう。途中マルバタケブキの群生地が何か所かあった。聖平小屋へは午後2時25分と早めの到着となった。ここは寝具がシュラフ1枚だけであった。トイレが宿泊棟から100mほど離れていて、夜中に歩いて行くのが厄介であった。トイレは自家浄化設備を設けて処理しているようです。
4日目コースタイム:歩行8時間50分 距離9.34km 累積標高+1,219m -1,312m
百間洞山の家4:40→5:48分岐→6:05中盛丸山→7:05小兎岳7:30→8:10兎岳→9:10鞍部→10:30聖岳→11:00東聖→11:35聖岳12:10→14:25聖平小屋泊り
 
5日目8月6日(金):聖平小屋~聖沢登山口~椹島ロッジ
乗越から見上げた聖岳(中央右が奥聖岳) 聖沢に掛る聖沢吊橋
朝4時になると小屋の明かりが付いた。もう起きだして支度している人もいたが、照明が付いた途端みんな一斉に起き始めた。空はまだ暗く星が出て三日月も見えている。ヘッドランプが必要のない位の明るさになり出発する。沢沿いの道を歩き、小さな徒渉(せせらぎ)がある。露地とあるところは露岩があり遭難碑が付けられていた。岩頭滝見台は対岸に何本かの滝を見下ろすことができる。ここで軽くパンとソーセージで朝食とする。吊橋を渡り乗越からは昨日登った聖岳を仰ぎみることができた。小屋から乗越まで小さな登り下りが多かったが、ここからは下りに転じて高度を下げて行くようだ。聖沢に掛る長い吊橋を渡る。沢は水流が多く激しく流れて行く。斜面に付けられたトラバース状の登山道は谷側に柵が付けられており歩きやすい。長いトラバースが終わると下りに転じてまもなく聖沢登山口に到着した。ここからはバス便にも時間があるので林道を歩いて椹島ロッジに行くことにする。椹島のレストハウスでバスの予約を済ませ、本棟でシャワーを浴びる。4日ぶりのシャワーは流石に気持ちがよい。シャワーの後はビールを飲みながら休憩する。レストハウスで昼食の山菜そばを食べる。定刻13時にバスは出発する。畑薙第一ダムからはしずてつバスに乗り換え、途中二か所で休憩して、ほぼ予定通り17:48分にJR静岡駅前に到着した。
5日目コースタイム:歩行5時間20分 距離10.59km 累積標高+405m -1,553m
聖平小屋4:40→6:10岩頭滝見台→7:05乗越→9:25聖沢登山口→10:10椹島ロッジ(バス・無料)13:00~畑薙第一ダム(バス¥3,000)14:25~17:48JR静岡駅
2日目~5日目合計
総歩行31時間20分 総歩行距離44.42km 累積標高+4,920m -4,920m
 
チシマギキョウ(千島桔梗)
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